【データプロバイダーに聞く Vol.1】ドコモ・インサイトマーケティング エリアマーケティング部 副部長 渋谷氏

”人に関わる仕事をする人のためのデファクトスタンダードになりたい” 新たな統計データ「モバイル空間統計®」への思い/株式会社ドコモ・インサイトマーケティング エリアマーケティング部 副部長 渋谷大介氏

3rd Party Data Galleryは、ウイングアーク1stが持つデータ可視化基盤やデータ加工処理技術に、様々なデータプロバイダーが持つ価値あるデータを組み合わせることで価値を生み出すサービスです。

そこで3PDGブログではウイングアーク“一押しデータ”を有するデータプロバイダー様へのインタビュー「データプロバイダーに聞く!」コーナーを立ち上げました。「データプロバイダーに聞く!」シリーズの第一弾は、新しい人口統計データとして今注目を集める「モバイル空間統計®」にフォーカス。NTTドコモグループ、株式会社ドコモ・インサイトマーケティングで、サービス開始以前から本事業に携わられている、エリアマーケティング部副部長の渋谷大介様に「モバイル空間統計®」の誕生秘話や活用分野、今後の展望について伺ってきました。

モバイル空間統計®について

編集長(以下、編)>今日はドコモ・インサイトマーケティング(以下、DIM)でモバイル空間統計®を語らせるならこの人!という渋谷さんにお話を伺います。渋谷さん、今日はよろしくお願いいたします。

渋谷氏(以下、渋)>よろしくお願いします。

>弊社の3rd Party Data Gallery(以下、3PDG)でも約1年前から提供させていただいておりますが、改めて「モバイル空間統計®(以下、モバ空)」とはどのようなデータなのか教えてください。


>はい。モバ空はNTTドコモ(以下、ドコモ)の携帯電話の運用データから作られる人口統計データです。携帯電話を着信させるためには、各基地局のエリアにある携帯電話の位置を周期的に捕捉しなければなりません。そのため基地局はそのエリアに在圏する携帯電話を定期的に確認しています。この運用データを活用し携帯電話の台数を集計し、そこにドコモの普及率を加味し全体的な人口を推計したデータです。

>プライバシー保護に対する配慮もしっかりされているんですよね?

>はい。少し専門的なお話になりますが、モバ空の作成にあたっては「非識別化処理」「集計処理」「秘匿処理」という三段階の処理を通じてプライバシーを慎重に保護しています。非識別化処理では個人を識別できる情報を削除し、集計処理ではドコモの普及率にあわせた集計処理を実施。さらに国などが作成する公的統計においても実施されている秘匿処理を実施しています。

>なるほど、我々も御社データをご説明する際にそこは気をつけて説明をさせていただいているポイントです。先ほど人口統計データとおっしゃいましたがどのような人口分布データなのでしょうか? 

>まず対象はドコモ携帯電話の7,000万契約です。

>で、年齢は契約ができる15歳から、上は79歳以下でしたよね?

>実は少し違って...本人の名義で契約ができるのは中学生からなので12歳から契約はできるのですが、中学生ですとまだ親の名義のままだったり、契約数もそこまで多くないということで15歳からとしています。上限については80歳以上の携帯普及率が高くないため対象外としています。

>そういうことだったんですね。データとしては10代、20代、30代・・・70代という単位がデフォルト、オプション費込みで5歳刻みも可能となっているんですね。性年代別に基本500mメッシュ、エリアにより250mや1キロメートルメッシュ内の人口の分布を1時間単位で提供可能なんですよね。

>そうです。それについては国内居住者の分布データですが、他に約400万人分のローミングデータを基に作られた訪日外国人の分布を表すデータもご提供しています。

※国内約7,000万は法人名義の契約データを除去して推計しています。また国内 7,000万・海外400万は、2016年3月時点のデータです。

モバ空が生まれた背景

>ところで、渋谷さんはどのタイミングからモバ空のビジネスに関わられていたんですか?

>2008年にドコモの研究所に対し“ドコモが持っているアセットを活用した新しいビジネスを考えるように”というお題が当時の上層部から出されました。その中で携帯電話の運用データを活用できないかとスポットライトがあたり、大学の先生など有識者の方々も交え、防災分野・街づくりの分野で利活用モデルのスタディーを行うと共に、並行してプライバシーの観点で問題ないかを議論し、総務省への確認やお客様向けのガイドラインを設置するなどさせていただきました。その結果ビジネス面で期待が見込め、プライバシーの観点でもお墨付きをいただけたので、そのタイミングで事業化を検討しようということになり、事業化の部隊も関わることになりました。いざ事業化するためには、利用者が国や地方自治体だけではスケールし難い、システムを作って運用していくとなるとコストもかかるので費用対効果も見ていかなければならないし、市場ニーズがあるのか、その規模感はという点も厳しく判断しなければならない…というあたりから私が参画することになりました。

>なるほど。

>結果この手のサービスの市場規模はありそうで、投資しても充分回収の見込みが立ちそうだということを事業計画書にまとめて報告しました。丁度その裏でマーケティング専門会社としてDIMを立ち上げるという話がパラレルで走っており、どうせ事業化するのであればそこで一緒にやったらどうかという判断があり、モバ空はDIMでハンドリングするというドコモ内の整理がつき、2012年4月にDIMが設立され、2013年からサービスを開始し今に至ります。長い年月ですね。

>ちなみに…事業計画を立てるに当たり、携帯電話の運用データ、後のモバ空に出会ったとき、“これはイケるぞ、売れるぞ”とすぐ思われたんですか?

>ええとですね(笑)…私がモバ空に出会ったのはもっと前でして。

>そうなんですか?!初耳です。

>そうなんです。支店にいる時期にドコモの研究所が面白いことをやっているということで、その紹介をするという勉強会がありまして。当時私は全く違う仕事をしていたのですが、もともとCRMに関心があったこともあり、その分野でモバ空って使えるんじゃないかと期待をもって勉強会に参加したわけですが、個人に紐づくデータではないので、CRM観点では使えないなという第一印象を抱きました(笑)。

>そんなスタートだったんですね(笑)。ではイケるという確信はその時点では?

>その後、事業化検討を担当することになって、最初は売れるかどうかの確信が持てない時期もあり、実際検討のため市場調査を行うと、非常にいい反応もあれば、いいデータだけど必ずしも必要ではないよねという意見もありました。ただ公共側からの期待は大きく、民間側でも利用用途が分かってくるとこのデータは「役に立てる」と自信を持てるようになりました。事業化後も公共側の案件を獲得し利活用や認知を上げていく中で、徐々に民間側からの需要が高まり、今では”イケてるデータだ”と確信しています。

>そうですよね、私も観光庁の2014年12月に発表された「携帯電話から得られる位置情報等を活用した 訪日外国人動態調査報告」など色々と参考にさせているんですが、公共におけるICTを活用した動態調査の先駆け的な位置づけでいらっしゃいますよね。

モバ空が活用されている分野

>まずは公共からスタートし、民間側でも利用用途がわかってくると…とさきほどおっしゃっていましたが、具体的にどんなお客様にどの様に使われているのかをもう少し詳しく教えていただけますか?

>そうですね、今のところは自治体さんや官公庁に販売させていただくことが多いです。使っていただいているのは基礎調査として。自治体さんなんかですと、いわゆる統計調査やセンサスと言われるデータは保有されているのですが、例えば最新の観光動態分析をするにはそれだけでは足りない、また、都市計画を考えていく中で居住地ベースのデータだけでは自分の街の姿が見えてこないということで活用いただくことが多いのかなと思います。

>具体的に地方自治体が保有しているセンサスデータでは足りなくて、モバ空で補完できるものとはなんですか?

>一番大きいのは訪日外国人データです。我々がサンプル数も一番多く持っていると思いますので、そちらを強みにしてご案内させていただいています。また、国内居住者の分布データについても観光分野、宿泊統計などで泊まっている人のデータはあるのですが日帰り観光客についてわからないとか、今は駐車場に止まっている車のナンバープレートを見てどこから来ているのかを調査しているがそれより細かくはわからないというようなことを聞くので、”モバ空であれば日帰りの方がどのくらい来ていそうかもわかりますし、どこから来ているかは市区町村レベルでわかりますよ”とご案内したりしています。

>地方自治体さんはそんな地道な調査をされているんですね。すでに明確な需要があるならすぐ欲しくなるデータですよね。では民間側はどうですか?

>民間ですと、やはり店舗が中心です。小売さんや店舗で商品を売られているメーカーさんがどのようなお客様が店舗の周辺までこられているのかというような目線で使っていただいているという例が多いです。

>お客様側から見た、モバ空の活用の仕方必勝パターンなどあるのですか?

>サービスを開始して4期目ですが、おかげさまでこの3年で色々なお客様に使っていただけるようになっているのですが、まだまだ継続して使っていただいているお客様はそう多くはなく、継続して利用していただいているお客様の使い方が必勝パターンになってくるのかなと考えていてその辺の情報を集めている最中です。ただ、一つ言えるとすると売り上げ予測モデルに組み込んで使うとよい気がします。

>具体的には?

>店舗の売上予測モデルは国勢調査のデータが組み込まれていることが多いのですが、ご存じの通り国勢調査は5年に1度しか実施されず、調査されてから時間が経過すればするほど現実とのギャップが生じます。なのでそれを補完する形で組み込んでいただきそれで精度があがればいいなというところが一番大きな狙いです。

DIMからみたウイングアークと提携するメリット、3PDGの価値

>さて、モバ空を流通させるためにということで、代理店支援を積極的に行っていらっしゃると思いますが、ウイングアークもその1社です。DIM様のモバ空を月額サービスとして3PDGで取扱い開始させていただいたのが約1年前、2015年の7月ですが、2014年の秋から提携についてディスカッションを重ねさせていただいてきましたよね。

>そうですね、2014年11月のウイングアークフォーラムにも行かせてもらいました。

>そうでした!有難うございます、懐かしいですね。我々にとってモバ空は3PDGにおける重要なデータとしてお取扱いをさせていただいているのですが、DIM様側から見てウイングアークと提携することや3PDGのサービスにデータを提供することはどのような意義、メリットがあると思われていますか?

>はい、2つあると思っています。一つ目としては、我々はデータを持っているが可視化ツールをもっていない。実際お客様側であらゆるデータ加工を掛けて分析する方はまだそう多くはないと感じています。これからビジネスをスケールするためには可視化ツールのようなものが必要になってくるだろうと前々から思っていました。その中で御社からご提案を受けたので我々のビジネスを補完するものだと思い提携させていただきました。

>そうですよね、我々もデータを広く流通させるための機会、データプラットフォームとして3PDGを位置付けています。MotionBoardという可視化基盤を持っていることはその上で強みです。その点をご評価いただき有難うございます! 二つ目は?

>二つ目ですが、3PDGというサービスモデルを利用したいと思った背景として、我々のデータは比較的高額なので、ある程度価格を抑えて広く皆様に利用していただける環境を用意したほうが良いのではないかという意見も社内で出てきたため、渡りに船ではないですが、やはりビジネスをスケールさせるという目的で活用させてもらおうと。そこで足りない(より詳細な粒度で見たいなど)場合は別途データを買ってもらうというパターンもあるのかと思います。

>3PDGでは、「3rd Party Data Gallery On Demand」「3rd Party Data Gallery for MotionBoard Cloud」「3rd Party Data Gallery for Business Intelligence」全てのモデルにおいてモバ空を提供していますが、「3PDG On Demand」と「3PDG for MotionBoard Cloud」のサブスクリプションモデルという形である程度サマリーした状態でモバ空を見せた上で、より詳細に見たい何か(エリアや時間の粒度や期間など)を見つけて頂き、次のステップへ進んでいただくための仕組みが3PDGで作れていることも価値をもたらせていると自負しています。

>そうですね!期待しています。

今後の展望、デファクトスタンダードに

>では最後に、モバ空をもっとこういう分野、こういう人たちに活用してもらいたいという今後の展望をお聞かせくださいますか?

>はい。この事業を開始した直後くらいから“デファクトスタンダードになりたい”と話していて、この分野で言えば国勢調査がデファクトスタンダードなのかなと思っています。まぁあれは国のスタンダードなわけですが…モバ空も世の中の一種の指標として認識されるようなデータにあらゆる分野でなっていきたい。

>デファクトスタンダード、素晴らしいですね!

>有難うございいます。先程申し上げた観光庁、自治体だけでなく今までご利用いただいていない省庁や、小売・メーカーに限らず、銀行、デベロッパー、不動産、交通事業者さんについてもモバ空を指標として使っていただけるようにと思っています。“人に関わる仕事をなさっている方々”みなさんにモバ空を活用いただけるようになりたいと思っています。

>3PDGがその思いの一助となれるよう我々も頑張っていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

>そうですね、よろしくお願いいたします。

[インタビュー日:2016年6月24日/執筆者:3PDGブログ編集長 廣森千穂]

【今回の主役】 

株式会社ドコモ・インサイトマーケティング エリアマーケティング部 副部長 渋谷大介氏

1998年、エヌ・ティ・ティ移動通信網株式会社(現 株式会社NTTドコモ)入社。 携帯電話の商品開発や商品企画、iモード関連・DCMX関連のサービス企画などに携わったのち、株式会社ドコモ・インサイトマーケティングの立ち上げに参画、モバイル空間統計サービスの商用サービス化を実現。2013年、現職にてモバイル空間統計サービスに関する商品企画・サービス企画及び営業推進を担当。

【3rd Party Data Gallery On Demandで見れるモバイル空間統計®】

エリアポテンシャル分析 全国版:30万円/90日

NTTドコモの携帯ネットワーク(約7,000万台)から生成される空間人口データを使用した移動人口ポテンシャル分析を行うことができます。500mメッシュ単位で性別・年代別、平日休日別の人口分布を把握することが可能です。データは毎月更新、直近過去15ヶ月間のデータを提供しています。

訪日外国人エリア人口分布 全国版:180万円/90日

NTTドコモのローミングデータ(約400万人:2015年実績)を使用し、訪日外国人の国籍別、昼夜間別、都道府県・市区町村別の人口分布状況を把握することができます。直近過去15ヶ月間のデータを提供しています。

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