国籍ごとに検証、アメリカ人観光客の傾向

10月18日「Conde Nast Traveler(コンデナストトラベラー、以降CNTと略)」より“世界で最も魅力的な都市”のランキング発表がありました。そして、なんとその1位に東京が、2位に京都が選ばれました。 

(画像:Conde Nast Traveler

CNTは、Travel+Leisure誌、National Geographic Traveler誌と並ぶ、北米富裕層をターゲットした旅行専門誌で、読者の平均世帯年始有は約10万9千ドルともいわれています。本ランキングは読者投票によって決められるので、世界の魅力的な観光地を旅した米国の目の肥えたFIT層が東京と京都を特別な都市だと認めてくれた結果ですね。

昨今の訪日外客数の著しい伸びを支えているのは中国をはじめアジア圏からの訪日旅行者であり、欧米諸国からの誘致が課題となっています。日本政府観光局(JNTO)発表の「訪日外客数の動向」の発表データより2013年、2014年、2015年の対前年度比を見ると、アジア圏が27.0%→33.3%→53.9%増という数字であるのに対し、アメリカを含む北米は12.0%→13.3%→17.8%増。ヨーロッパ圏は16.5%→16.0%→18.7%増と、着実に伸びてはいるもののアジア圏の比ではないことが見て取れます。

今回の受賞が今後の北米からの観光客誘致に良い影響をもたらしてくれるとよいですね!

 

さて、では日本に対する評価が高い訪日米国人観光客の実態を、3rd Party Data Gallery On Demandで提供しているコンテンツを使って検証してみたいと思います。

 

いつ来るのか:ほかの国よりピークが1ヵ月早い?

訪日外客の年間の動向を見ると7月にピークを迎えますが、米国については一ヵ月早く6月にピークが訪れます。地域や州によって異なるものの6月から9月初旬まで学校が休みになるのでそのタイミングに併せて休暇を取る人が多いからだと思われます。また春の始動が他の国に比べて早いのも特徴。これは日本には馴染みがあまりないイースター休暇の存在が大きいものと思われます。従って3月から7月の間継続して訪日の盛り上がりがあり、一旦8,9月で落ち着いた後、10月の紅葉需要による訪日があるというパターンが見えてきます。


どこに来るのか:東京と京都が大好き

CNTのアワードからも明らかな通り、訪日米国人観光客は東京と京都を好んで訪れるようです。3PDG On Demandの無償コンテンツ「宿泊旅行統計調査(外国人)」で夏のピークを迎える6月の宿泊延べ数を見ると1位が東京、2位が京都となっています。本コンテンツでは地図上で分布を直感的に把握できる“地図でみる”機能と、具体的な数値で比較する“ランキングをみる”機能を提供しています。

ちなみに、2015年通年の訪日外客数エリア別については以下の通りです。

【全国】 1位:中国 2位:台湾 3位:韓国 4位:香港 5位アメリカ                    

【東京】 1位:中国 2位:台湾 3位:アメリカ 4位:韓国 5位:香港

【京都】 1位:中国 2位:台湾 3位:アメリカ 4位:オーストラリア 5位:香港

【大阪】 1位:中国 2位:台湾 3位:韓国 4位:香港 5位:タイ

全国と比較してもより多く東京、京都を訪れていることが明らかです。



東京、京都に来た後はどうする?

訪日外国人消費動向調査によると、7日以上の滞在が74.1%(全国籍は34.1%)、平均滞在日数は14.7泊と、長期滞在傾向にある訪日米国人観光客。日本ではなかなかまとまった休暇が取りにくい中羨ましい限りです。15日近く同じ場所に留まっているとは思い難い、それであれば東京や京都と併せて他の観光地へと周遊しているのではないかと思いますよね。

ここでは京都を起点として、訪日米国人観光客が他にどんなエリアを訪れているのかを見ていきたいと思います。ここで参照するのは、外国人観光客向けのスマートフォンアプリを利用したユーザーの位置情報を基に、滞在、周遊、都市間の相関を把握することができる株式会社ナビタイムジャパンのインバウンドGPSデータを使った3PDG On Demandのコンテンツ「訪日外国人エリア相関流動」です。

このコンテンツを使って2016年6月に京都府を訪れた米国人観光客が、他にどの県に行っているのかという都市間の相関を見ると、東京都、大阪府は勿論多いのですが奈良県、広島県との相関が強そうです。

ではこの時期具体的に奈良県、広島県のどこを訪れているのでしょうか?より詳細なエリアで分布を把握することにより日本のどこに、何に関心をもって周遊先を選択しているのかを推察することができるようになります。ここでは同様にインバウンドGPSデータを使った3PDG On Demandのコンテンツ「訪日外国人エリア滞在分布」を見ていきます。本コンテンツでは1㎞メッシュの粒度で国籍別に外国人観光客の分布を把握することが可能です。

先ず奈良県から。色が濃いほど人口の分布が多いエリアですが、奈良駅周辺が赤くなっています。このエリアには奈良公園がありますが、公園内には“興福寺” “春日大社” そして奈良の大仏でも有名な“東大寺”が位置する日本でも有数の歴史的仏閣が集中している観光地です。県内の他密集エリアを見ていくと、平城京跡、世界遺産に登録されている法隆寺、飛鳥寺跡や石舞台古墳、高松塚古墳など多くの古墳が点在する明日香村などに人が訪れているようです。歴史的な史跡を目的として京都から奈良へと足を延ばしているということがわかります。

次に広島県を見ていきます。京都からは陸路で新幹線を利用して移動することが大半でしょう。広島駅周辺の人口密集度が高いことは中継地点としての滞在もあると思いますが、何よりもトリップアドバイザー「外国人に人気の日本の観光スポットランキング2016」で伏見稲荷大社に次いで2位にランクインした広島平和記念資料館(原爆ドーム、広島記念公園)があることが大きな理由と思われます。他に県内で分布が多いエリアは地図左下の厳島神社周辺です。京都府を起点として日本を周遊する訪日米国人観光客は日本の歴史・文化に強い関心を持っているという傾向がデータを通じ見えてきますね。

このように国によるオープンデータだけでも大まかな傾向に”気付く”事ができます。”気付き”を得て何を深掘りしたいかが見えてきたら、有償データを使って更に詳細な分析をしていくという手法もお奨めです。3PDG On Demandでは、会員登録をするだけで「訪日外客統計」(日本政府観光局)、「宿泊旅行統計調査-外国人」(観光庁)の発表データを、地図やチャートで分かり易く表現、閲覧していただくことができます。是非一度チェックしてみてくださいね。

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