動き出すオープンデータ活用~医療分野~

昨日の日本経済新聞電子版に「政府、患者ビッグデータ整備 診断・治療に活用」という記事が掲載されました。

 医療機関や介護施設などが持つ患者の情報を集めたビッグデータの活用整備に乗り出す。構築する共有システムを医者に使ってもらい、患者が症状や体質にあった診断や治療を受けられるようにする。製薬会社や研究機関にも加工したデータを提供し、新薬や医療機器の開発に役立てる。個人情報保護の体制を整えたうえで、2020年度をメドに本格稼働させたい考えだ。医療データには電子カルテ、レセプト、健康診断結果などがあるが、基本的に連結していない。厚生労働省が所管するだけで、健診データは2億件、医療レセプトは110億件、介護レセプトは5.2億件ある。これらの蓄積したビッグデータを活用する仕組みを構築する。

とのこと(全文はこちら)。本年6月2日に閣議決定された「日本再考戦略2016-第4次産業革命に向けて」の中でも 

国等が保有する医療等分野の関連データベースについては、「医療等 分野データ利活用プログラム」(平成 28 年3月 30 日次世代医療 ICT 基 盤協議会策定)に整理したスケジュールに沿って、患者データの長期追跡や、医療情報データベースシステム(MID-NET)基盤整備事業や小児と 薬情報収集ネットワーク整備事業等の各データベース間の連携、民間利 活用の拡大に向けて、着実に対応を進める。

と、改めて記述されていますが、“ビッグデータ活用によるイノベーション促進、医療現場や政策へ の活用”への具体的な取り組みが動き出しています。

日本におけるオープンデータ活用というと、政府・地方自治体・公的機関による情報公開の取り組みの一環、行政サービスとしての側面が強く、民間分野で欧米の動きに対し大きく遅れている印象を受けるのですが、このように具体的な利活用に向けた取り組みが促進されるのは望ましいことですね。

ちなみにこれが実現するとどう変わるのでしょうか?

例えばマイナンバー制度で日本を50年近く年先行するデンマークでは、1968年に国民共通番号制度を導入し、住民個人ごとに付与された一意の番号の下で、登録情報全体が一元的に管理できる仕組みを構築するとともに、「電子政府戦略構想」に基づき、ペーパーレス化、福祉サービスの電子化、公的部門間の連携強化行っている。医療ビッグデータの分野でもがん登録(1943年開始)、死亡原因登録(1943年開始)、市民登録システム(1968年開始)、医療出生登録(1973年開始)、全国患者登録(1977年開始)、乳がん共同グループ登録(1977年開始)、全国処方箋データベース(1997年開始)、病理データベース(1999年開始)、脳卒中登録(2003年)など、全国を対象としたナショナルデータベース(NDB)が数多く運用されているそうです。デンマークでは既に医療ビッグデータのさらなる利活用の段階に入っています。例えばその一例が「デンマークバイオバンク」の取り組み。デンマーク保健省傘下の国立血清学研究所(Statens Serum Institut:SSI)と連携した組織が運営母体となり、総数1600万件に及ぶ人間の生物学的サンプルを収集し、関連するデータをいつでも分析可能なフォーマットで保存している。デンマークおよび海外の研究者が簡単に利用できるインフラストラクチャを提供することを目的として構築されています。ここでは独自の「デンマークバイオバンク登録」データと、整備された既存のナショナルデータベース群が連携して、データソースを構成しているそうで整備されたオープンデータが上手く活用されています(参考記事:MONOist「医療ビッグデータの利活用で世界をリードするデンマーク 」

少子高齢化の進行については、先日の国勢調査確定値発表の記事でも述べましたが、最重要課題としてデータ整備活用が求められる分野であることは確かなので注目をしていきたいですね。 

医療データの分野では大きく遅れを取っている日本ですが、他の分野では民間分野におけるオープンデータ活用の実績があります。次回はそれを取り上げたいと思います。

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